
今回も前回の心房粗動のときと同様、高周波でのカテーテルアブレーション。
《異常な電気信号を発生している箇所を高周波(電子レンジで加熱する仕組み)によって焼灼する方法》
生まれてから一度も経験したことがない全身麻酔で行う旨伝えられている。
前日までのあらまし。
アブレーション治療で根治を目指すことになったきっかけ。
カテーテルアブレーション治療当日の流れ

大まかなアブレーション治療までの当日の流れはこんな感じです。
- 朝は、普通に起床する。
- 朝ご飯を食べて、看護師さんによる血圧等の測定。
- 午前中は、まったりと過ごす。
- 手術は、午後2時の予定なので、昼は禁食。
相方も、午後半休を取って来てくれた。 - 浴衣のような手術着と、専用パンツに履き替える。
予め売店で買うように言われていたアンギオパンツ (血管造影検査用下着)という、お股に穴が空いた専用パンツに着替え準備万端。
手術室でのアブレーション治療の様子
私の前にしている手術がおしていたようで、少しだけ遅れていると少し前に看護師さんに言われる。
遅れている→トラブっているという思考になり若干不安になるが、すぐに呼ばれる。
心臓カテーテル室へ看護師さんと車椅子で移動。
カテーテル室へ着き、車いすから降り、自力で手術台へ移動した。
手術室の近くで作業されているスタッフさんは10人ほど。
浴衣を脱ぎ、裸になってベッドで座っていると、手際よく身体中にセンサーを付けられる。
バリウムを飲み、前回は、経験しなかった鼻からセンサーを入れられる。
(術後、ネットで調べたところ、左心房の後ろに接している食道に穴が開いてしまわない為に、食道へ鼻から温度センサーを挿入し食道内の温度管理をするようです。)
横になり、顔にシートが被せられる。
緊張からか多少早くなった鼓動が、カテーテル室で鳴る規則正しい音とリンクしていた。
「では、○○さん始めますね。」
執刀医の先生の言葉で、いよいよ手術がスタートです。
まず局部麻酔をされ、首の血管と足の付け根から同時にカテーテルを入れられる。
首からカテーテル(電極カテーテル)を入れている先生に、「深呼吸のような呼吸はしないで。普通の呼吸で」と注意される。
身体の中はこんな感じ。私の身体です。
アブレーション中の私の身体の様子
鼻から入れた『食道温度センサー』
首の静脈からの『電極カテーテル』
足の付け根からの『アブレーション用カテーテル』
ICDの『リードが2本』
はっきりと写っているのがわかると思います。
(足の付け根から入れた『アブレーション用カテーテル』で焼灼したと聞きましたが間違っているかもしれないです。)
その後、徐々に意識が無くなっていく……。
時々目を覚ますが、すぐに意識がなくなる。
顔のシートをめくられると同時に目が覚めた。
隣にいた先生に「手術は順調に終わりましたよ。」と告げられた。
前回のことがあったので、目覚めた今の状況に心底ホッとする。
手術後、3D画像や心電図データを見ながらの説明を受ける
手術は約2時間。
全身麻酔で眠らされていたのもありますが、目覚めてからも傷みや違和感は全くなかったです。
手術後は、まだ麻酔が効いていたので病室へストレッチャーのまま戻り、病室のベッドへ看護師さん4人ほどでヨイショの合図とともに移された。
この時は、まだ薄い記憶しかありませんでした。
その後、しばらくたって先生から軽く説明を受ける。
心房細動の原因となる異常な電気的興奮は、ほとんどが肺から左心房へ入り込む4本の肺静脈という血管が原因のようです。
そのため、肺静脈と心臓を電気的に遮断する方法が有効と考えられていて、私の場合も、右側2本、左側2本の肺静脈と左房の接合部位を広く囲うように焼灼して不整脈を起こさなくするという方法で実施したそうです。
私の心臓で説明すると、○の部分が肺静脈です。

こげ茶っぽい色の点々が左心房の焼灼する場所です。


一度カテーテルアブレーションで焼いて死んだ心筋細胞には、一生電気が流れなくなるそうです。
アブレーション前の左心房

アブレーション後の左心房

アブレーション前の心電図

アブレーション後の心電図


一応、前回の心房粗動アブレーションと今回の心房細動アブレーションで一区切りです。
後は、経過をみてですね。
最後、先生にこういわれ、頷きながら同意した。
あとは、再発しない事を祈るだけとなりました。
アブレーション治療がすべて終わって
手術後、6時間は絶対安静。
夜には、足を固めているバンドを外しても良かったみたいだが、なぜか朝までそのままだった。
昼に眠らされていたせいなのか、まったく眠くなくなっていたw
片手では不便なのでスマホをいじる気にもなれず、深夜の暗闇で目の前にある私の生体情報モニタの心電図をぼーっとしながら眺めていた。
しかし、いつの間にか寝てしまっていた…。
しかも朝まで傷みも全く感じず熟睡でした。
朝になって、止血のための足のバンドが緩められた。
朝ご飯前に、歩行訓練も兼ねて、点滴スタンドを付けたままコンビニにお茶と新聞を買いに行く。
歩いてみても歩行にはまったく問題なく、どこにも痛みは感じなかった。
動悸が激しくなってから朝夕と2度飲むことになっていた『アンカロン(アミオダロン)』も、手術後飲まなくてよくなった。
先生から飲酒時期と自己検脈を癖にすることとについてのお話し

退院する日の早朝に、今回執刀して頂いた先生からお話が。
手首で脈を測る習慣を付けてください。
1ヶ月もすると今どれ位の脈拍数なのかわかるようになりますよ。
脈が飛ぶ感覚も覚えておくことが大事です。
と、以前違う先生にいわれたことと同じことをいわれた。
一応脈を測ることを心がけてますが、自己検脈は大事なんだと再確認しました。
最後に、

経過は良好。
夜間も心房細動などの不整脈も出ていない。
3か月間、心房細動を発症しなければ完治とみて良いでしょう。
飲酒もビールコップ一杯程度ならいいですよ。
1週間したら普通に今まで言われていた量に戻しても大丈夫。
その後、何事もなく病室のベッドの上で過ごし、残暑の残る翌々日の午前中に退院となった。
心房細動の再発の判断は3か月とのことなので、来年早々です。
しかし根治することに越したことはないですが、万が一再発したとしても、次回のアブレーションでの根治率は相当高くなるのでそこまでの心配はしていません。
なんせ、登山家で有名な三浦雄一郎さんでさえ、なかなか根治しなかったアブレーションの手術を4度もしているのですから。