ICU(集中治療室)での生活も慣れてはきましたが、食欲がまったくありません。
無理やり食べようにも食事が喉を通らず、栄養補給は、ほぼ点滴だけの毎日。
その点滴ラインのルートからは、栄養補給以外にも、血液をサラサラにする役割やその他多くの液体が補給されています。
そのラインを刺している場所が変色してきてズキズキと痛むようになってきました。
看護師さんに伝えると、刺す場所を変えるからということでもう一か所ルートが確保されたが、二か所になったまま2日放置され…。
日課としては、毎朝、回診前後にレントゲン検査技師さんによる病室で寝たままポータブルのレントゲン装置での撮影がずっと続いています。
この記事では、心肺停止してから大動脈バルーンパンピング(IABP)の手術を受けたこととその経過をお伝えしていきます。
※この記事は、2024年6月20日に追記しました。
血尿や肺水がなかなか改善しない心不全の病状
心肺停止した影響なのか、最近は血尿もあり、肺に水が溜まってる状態(肺水腫)が一向に改善しないらしい。
実際に、尿をためる『尿バッグ』は真っ赤です…。
朝の回診で先生からは、腎機能は正常なので、利尿剤を増やすなど今後の予定を伝えられた。
利尿剤を増やすことで、肺にたまった水を改善させることができるかもしれないようです。
この頃は毎日、ICUで寝たままで何かしらの検査がある。
先生は明るく振る舞ってくれるが、看護師さんとの会話の雰囲気で深刻な心不全の状態なのが伝わってくる…。
心不全状態で咳と痰が止まらず苦しい日々が続く
最初はそれほど気にすることもなかったが、咳が出るようになる。
どちらかというと乾いたような咳。
そして咳が出ると止まらなくなり、同時に痰も絡み出し、その都度酸素マスクを外しティッシュで排除していた。
ある時、看護師さんが色々と矢継ぎ早に尋ねてきました。
咳が止まらないけど苦しい?
痰がよく出てるみたいだけど、痰を今度はティッシュじゃなくてこれに入れて。
入れたらナースコールして
用件だけを伝えられ、理科の実験で使うようなシャーレを置いていきました。
咳が出てもそれほどの苦しさはなかったが、止まらなくなるのと、痰が絡むのがとても煩わしかった。
なぜなら、私は酸素マスクをしていたので、半身起き上がり、マスクをずらし、ティッシュで痰を取るという行為をしなければいけなかったからです。
痰は出そうと思えばすぐに出るので、シャーレに痰を入れ、すぐにナースコールしたのです。
何の検査なのかは聞かなかったので不明ですが、「色は変じゃないね」と言いながら回収して行った。
数日後、特に問題はなかったと伝えられ、何の検査だったのか聞くと「呼吸とか肺」とアバウトに教えてくれたのです。
心臓は肺と直結しているので、両方ともによくなる必要があるみたいですね。
家族にはここ数日が山場だと伝えられていた
この頃は、病気も改善せず心身ともにしんどい時期でした。
しかも、家族には「ここ数日が山場です」と伝えられていたそうです。
この「大動脈内バルーンパンピング術(IABP)」が最後の砦かもしれないということを。
そういえば、最近「大動脈内バルーンパンピング術(IABP)」を発明した話が映画されていますね。
映画「ディア・ファミリー」という映画ですが、この映画のストーリーで、初めて「大動脈内バルーンパンピング術(IABP)」が日本の医療技術だと知りました。
私がこの記事を追記できたのも、この機器のおかげなのかもしれないです。
上映中にぜひ観に行きたいと思います。
心臓の機能を補助する秘密兵器「大動脈バルーンパンピング療法」を受ける
午前中に、昨日、先生から説明のあった大動脈バルーンパンピング(IABP)という手術を、その日の13時から行うことを告げられました。
大動脈バルーンパンピングの仕組みの簡単な説明を先生から受け、再度カテーテル室にベッド寝たままの状態でICUから出て運ばれていきます。
先生の説明を箇条書きにするとこんな感じです。
- 私の心臓の収縮や拡張する力がとても弱っている
- 具体的には血液が十分心臓から身体中にいきわたらない状態
- バルーン(風船)を強制的に膨張・収縮させて、心臓の働きを助ける手術をする
- この機器は心臓の動きを感知して、バルーンの膨張・収縮を自動で調整してくれる
具体的な仕組みはこんな感じ。
大動脈内バルーンパンピング
心不全で心臓のポンプ機能が障害を受けた時には、低下した循環機能をサポートする補助循環法を行います。
このうち、臨床で最も広く用いられているのが、大動脈内バルーンパンピングです。
大動脈内バルーンパンピングは、大腿動脈などから胸部大動脈にバルーンカテーテルを挿入し、拡張期には、バルーンをふくらませることによって拡張期血圧を上昇させ、冠状動脈の血流を増やして、心筋への酸素供給を行います。収縮期には、バルーンをしぼませ、左室への負担を減らして酸素消費量を減少させます。
心原性ショックの治療のほか、不安定狭心症や人工心肺からの離脱時にも使用されます。
ただし、大動脈弁の機能不全や、大動脈解離などの大動脈の病変がある人、出血傾向がある人には実施できません。合併症として、動脈の損傷、下肢の虚血、感染、血栓の形成を起こすことがあります。
看護roo!
手術する場所は、この病院に搬送されて最初に執行されたカテーテル室。
カテーテル手術と同じように局部麻酔。
足の付け根からカテーテルを入れ、大動脈にバルーンを留置させます。
「痛いときは、痛いと言って」と言われていたが、特に痛いこともなかった。
布のようなもので顔は隠されていたが記憶も確かで、たまに話しかけられたりしながら、手術中の様子が聞こえてきていました。
手術時間は、1時間ほどで何事もなく無事終了。
ベットに寝て大きな機械を従えて、ICU(集中治療室)へ戻りました。
バルーンを入れた足の付け根から足の先まで絶対に動かしてはいけない日々
集中治療室の病室へ戻ると、足元に大きな機械がひとつ増えたことを実感しました。
大動脈バルーンパンピング(IABP)装着中の全体像は、上でも紹介しましたがこんな感じです。
心臓の機能が回復すれば、バルーンを抜きます。
一応、順調だと4日くらいだと、先生には言われました。
入れた管が曲がると大変になるらしく
バルーンが大動脈に入れられている間は、絶対に足を動かせない。
当然ながら、寝返りを打てません。
無意識に何気なく足を動かすたびに看護師さんから注意を受ける。
看護師さんより、「足を縛ったほうがいい?」と提案され、面倒なので縛ってもらいました。
実際に、自由に動かせる状態の自分の足を24時間動かすなってほうが難しいですし大変です。
結局2日伸びて6日後に、ICUの病室で外されました。
看護師さんがおもむろに足の先からそのまま抜いて、そのバルーンを見せてくれた。
実物は意外に大きいバルーンでした。
血だらけのバルーンのグロさに驚いた記憶があります。
「バルーンカテーテル」を抜いた足の付け根の傷口にがっちりテーピングをされ、足を動かすことの許可が出ました。
この手術をネットで検索すると、生命の危機状態にある患者に装着する補助循環装置とあり、そういう患者さんが使用する機器だとわかります。
重症の心不全の症状を検索してみると、肺に水がたまり、痰がからむ咳が止まらなくなるなどの症状も同時に確認できます。
まさに私はその症状だったわけです。
あとから思うと、この頃が一番危険な状態だったんだとつくづく実感することになります。。
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