胸が押されてる、圧迫感で目を覚ます。
周りを囲むように沢山の看護師さん。
何が起きたのか、全く理解できず。
横にいた、男性の看護師さんがしきりに私の名前を呼んでいる。
そんな貴重?な体験をしたのでその過程を自分用にも残しておきたく記録として書いてみます。
まったく記憶にない心室細動で心肺停止
「○○さん、わかりますか?」
「○○さん、わかりますか?」
「○○さん、わかりますか?」
おもむろに「はい」と答えるが、何が起きてるのか全く理解できず。
ほかの看護師さんも私の脈を測ったり、器具を身体に付けるなど手際よく忙しそうにされている。
私の名前を叫んでいた看護師さんが、
「○○さん、心肺停止してましたよ。電気ショック(AED)で除細動しました。」
と、冷静に答えてくださいました。
寝ている間の出来事で、全く記憶が無かったので自分のことと理解するのが難しかったです。
私も他人事のような「そうなんですか。」と冷静に答えた記憶があります。
実際問題として心肺停止や蘇生などのレアな出来事が、まさか自分自身に起こるとは考えもできませんでした。
しかし、みぞおちのマッサージされた痛みが、これは現実だと教えてくれました。
蘇生した実感と身体におきた変化
結論からいうと、蘇生した(して頂いた)実感は全然なく、身体の変化も特には感じられませんでした。
先生や看護師さんに痛いところや苦しいところはあるかと度々聞かれましたが、本当になにも変化を感じずに、たまに「(圧迫された)胸が痛い」と呑気に答えていました。
その後、ベッドに横になりながら入念に『心エコー』検査をされました。
おそらく入院してから一番長い心臓エコー検査でした。
夕方には、病院から連絡が来て会社を早退してきた相方と一緒に、担当の先生から説明を受けた。
※後日相方に聞いたところ、先に『診療経過説明書』の説明は受けていて、私と一緒に聞いた説明よりもかなり深刻な内容で、「ここ数日間は、心不全が深刻で、心室細動などが発症するなど危険な状態になる可能性があるので覚悟しておいてください。そして常時すぐに連絡取れるようにして下さい。」みたいな内容だったそうです。
私におきた心室細動の経過と詳細
先生の説明によると、5分間心停止していた。
今現在、後遺症がみられないのは、「救急の認定看護師による胸骨圧迫だったので血液循環が保たれていた(心肺停止中も脳に酸素が送られていた)ことが大きい。」とのこと。
(ほんとに色々な事に感謝しかありませんm(__)m)
箇条書きだとこんな感じ
心肺停止の原因は、心室細動。
心不全(心臓のポンプ機能の低下)が心室細動になった原因の可能性が高い。との事。
時間経過も説明して頂いた。
AM05:20
心室細動(VF)
胸骨圧迫&人工呼吸2分 脈の反応無し
胸骨圧迫&人工呼吸2分 脈の反応無し
AM05:25
AED(自動体外式除細動器)※150J(ジュール) 1回 心室細動(VF)停止
私の場合は、心肺停止してすぐ十数秒間で看護師さんによって、心室細動が続いている間(5分間)ずっと胸骨圧迫され、止まってしまった心臓の代わりに血液を脳へと運ぶ処置をして頂きました。
下の図で、AEDを実施するまで胸骨圧迫(心臓マッサージ)を継続することで生存率が上がることがわかると思います。

- 5分間の赤い縦線が私が心肺停止していた時間軸です。
AEDによって除細動されるまで、胸骨圧迫されていた時間です。
ちなみにAEDで使われている、ジュールというエネルギーの単位の説明は以下の通りです。
※ジュールとは
エネルギー・仕事の単位。記号はJ。
1ジュールは、1N(ニュートン)の力が、その力の方向に物体を1m動かすときの仕事と定義されています。
150ジュールは、150ワット/秒
(100ワットの白熱電球を1.5秒間点灯させるエネルギーに相当します。)
150Jの、AED徐細動時の電圧は 1200V~2000V程度、電流は30A~50A程度です。
電流が流れる時間は100分の2秒以下です。
重い心不全のため大動脈バルーンパンピングを実施する
先生によると現在の状態は、
「心臓のポンプ機能が低下して肺に水が溜まっていてる。」
「重い心不全の状態で心臓機能が著しく低下している。」
とのこと。
また、近々の治療方針としては、「心筋梗塞のダメージが大きいので、大動脈バルーンパンピング(IABP)を早急に実施する。」との説明を受ける。
簡単に説明すると、私の心臓機能が弱いままで深刻な心不全の状態のままなので、心臓の拡張と収縮を助けるバルーンを入れて、拡張と収縮をどちらも補助して、心臓の負担を減らす目的とのこと。
大動脈内バルーンパンピングの説明は下記の通りです。
大動脈内バルーンパンピング(IABP)とは
心不全で心臓のポンプ機能が障害を受けた時には、低下した循環機能をサポートする補助循環法を行います。このうち、臨床で最も広く用いられているのが、大動脈内バルーンパンピングです。
大動脈内バルーンパンピングは、大腿動脈などから胸部大動脈にバルーンカテーテルを挿入し、拡張期には、バルーンをふくらませることによって拡張期血圧を上昇させ、冠状動脈の血流を増やして、心筋への酸素供給を行います。収縮期には、バルーンをしぼませ、左室への負担を減らして酸素消費量を減少させます。
引用:看護roo!
先生の説明によると、カテーテルでステントを入れたときと同じように、脚の付け根から膨らんだりしぼんだりするバルーンを入れて、弱っている心臓の負担を減らす補助的役割ようです。
(とても危険な状態なので)できるだけ早い方が良いとの事で、明日の午後に実施することになりました。
記憶テストと皆様に感謝する日々
心肺停止を体験してからは、
「この病院の名前は?」
「運ばれた日は何日?」
「昨日の晩御飯は?」
など、ふとした瞬間や用事の合間に看護師さんからさまざまな質問を投げかけられました。
違う部屋でもたまにそんな質問をしている声が聞こえていたので、最初は何も考えず答えていました。
しかし、多くの看護師さんから度々質問されましたので、もしかしたら記憶障害など後遺症を調べる為だったのかもしれないと思い始めました。
(偶然かもしれないですが…)
ちなみに心室細動とは、致死性不整脈ともいって、放置しておくと確実に死に至りますし、処置が遅くなればなるほど致死率が上がる恐ろしい不整脈です。
心室細動とは?
心室細動とは、心臓の筋肉がけいれんをしたような状態になり、全身に血液を送るポンプ機能を失った状態になる致死性不整脈の一つです。心室細動の唯一の治療方法が、除細動器(AEDを含む)で電気ショックを与えることだと言われています。
そして、AEDの使用とあわせて、私たち一般市民が胸骨圧迫や人工呼吸を行うことで1人でも多くの方を救うことができるのです。
その心室細動(致死性不整脈)を助ける唯一の方法は除細動器です。
職場や学校、街中でも最近よくみかけるようになったAEDは、除細動器のひとつです。
AED(自動体外式除細動器)とは?
AEDとは、突然心臓が正常に拍動できなくなった心停止状態の心臓に対して、電気ショックを行い、心臓を正常なリズムに戻すための医療機器です。
突然心停止の最も一般的な原因である心室細動(VF)・心室頻拍(VT) の際に使用されます。突然心停止は事前の徴候や症状なく突然発生するケースも多く、いつどこで発生するか分からない恐ろしい症状です。
心室細動とは、致死性不整脈=死に至る可能性の高い不整脈(心室細動または心室頻拍)の事です。
2017年にお亡くなりになった、エビ中の松野莉奈さんの死因が致死性不整脈といわれています。
家や街中で発症したら本当に危険な不整脈なのです。
勿論、蘇生したことは、病院の先生やICUの看護師の方々の早急な処置のお蔭ですm(__)m
特に集中治療室という、命を救うスペシャリスト集団がいる場所で発症した事に、運も良かったんだと本当につくづく思いました。
それと、入院するほどの病気になってから思ったことは、自分より家族のほうが大変だという事。
いろいろと感謝しかありません。